テレビに映るNBA選手のスーパープレイを見て、
彼のようになりたい。
そんな思いでバスケに目覚めた少年達は多いでしょう、私も例外ではありませんでした。
私は小学生時代サッカー部、そして主将を務めていました。
その理由は単純に学校が小規模で、サッカー部しかなかったからです。
当時バスケには既に興味を持ち始めていたので、サッカー以外では休み時間はバスケ、家のフープでバスケをする日々でしたが、中学進学後に今までの経験を生かしてサッカー部に入るか、それともバスケを新たに始めるか、ここの分かれ道は非常に悩ましい所でした。
と言いますのも、その中学校は二つの小学校が合併して成り立っている、そしてうちの小学校にはサッカー部がある、しかしもう一方の学校にはソフトボール部があってサッカーがない。
つまり、その中学校のサッカー部に、サッカー経験者でしかも主将を務めていたプレイヤーが入部するかしないかは戦力的にそれなりに大きな問題なんです。
そんなわけで自分だけの問題ではない、やはりサッカーに行くか、それともバスケに行くか、これは実は小学校5年生の時点で既に悩み始めていました。
そんな日々悶々として過ごしていたある日、体育でバスケの授業がありました。
そして、その授業が終わった後に当時担任だった先生が、
「今日はNBAのオールスターゲームがやってるな。」
何気ない一言でした、
NBA?
オォルスタァゲィム?
なぜかこの一言がとてもキュピーンした私は、それまで自ら進んでスポーツの番組なんて見ようと思って見たことは無かったのですが、家に帰って番組表をチェックし、その試合を録画した上で観戦しようと思ったんです。
それが96-97のNBAオールスターゲームでした。
それまでももちろんバスケには興味があり、スラムダンクも愛読し、何となくバスケを一人で楽しみながらバスケはこういうスポーツだ、楽しいぞぉーってイメージだけあったのですが、
それが形となって目の前に表れた、いやそれどころか想像以上の世界がそこに広がっていた。
この年のオールスターも正にオールスターで、メンバーは
マイケルジョーダン
ペニーハーダウェイ
グラントヒル
スコッティピッペン
ディケンベムトンボ
ジョンストックトン
ゲイリーペイトン
カールマローン
ショーンケンプ
アキームオラジュワン
などなど錚々たる顔ぶれ。
もう1Qから4Qまで終始信じられないようなプレーの連続で、オールスターゲームというのもあったのでオフェンスも大味、生まれて初めて人間の持つ可能性といいますか、これほどの衝撃を受けた事はありませんでした。
やはり中でもジョーダンのプレーというものは輝かしいものでした、そして史上初のオールスターゲームでのトリプルダブル、当時このトリプルダブルの意味が分からずじまいでしたが、ダンクに始め多彩なアシスト、そして芸術的なフェイダウェイ、それだけでものすごいプレイヤーだと感じましたね。
93年の引退時にもバスケに関わりのなかった自分の耳に、マイケルジョーダンが引退!!というニュースが飛び込んできて、何かすごい事が起こってるんだなっていうのは実感しましたぐらいでしたから、実際このオールスターでプレイを見て、この方だったのかとしみじみしました、確かに輝きが違う。
と、
いかにも私もジョーダンの影響でバスケに目覚めましたと言っているように捉えられるでしょうが、
このゲームを見て私の人生に多大な影響を与えたのは、
シャーロットホーネッツの、グレンライス。
このオールスターではリザーブとしての出場でしたが、第3Qからの神懸かり的なパフォーマンスは本当に目に焼き付いて今でも離れません。
録画したビデオテープは彼のプレーを見すぎて擦り切れました。
この試合でもそうでしたが、やはりダンクというものはとても迫力がありますし、見る人をエキサイトさせる魅力的なプレーには違いないと思います。
しかし、このダンクというものは大抵のプレイヤーには無縁の一部の身体能力に恵まれた方のみに許されたプレー、というものでして、それは当時小学生だった私にとってももちろん現実味がなさすぎてトライしてみようという気は全く起きませんでした。
その時の私にとって、一番興味を持ったのは3ポイント。
この試合でもフープから遠い距離から放たれ、高い軌道を描いてネットに吸い込まれるボールを見ては感動していました。
自分もこんな風にシュートを決めてみたい。
元々バスケをやるようになってからは、シュートを打つのが好きで家でも遠くから決めることは目標としていましたが、いかんせんシュートが飛ばない。
しかしこのNBAプレイヤー達は綺麗なフォームであっさりとフープに沈めて来る。
そして、そんな私にその3ポイントの魅力を存分に見せてくれたプレイヤーが、このグレンライスだったのです。
3Qに入るや否や、立て続けに3を沈めて行き、3をノーミスで連続4本。
更にハーフでのオールスター最高得点記録を24点叩き出し更新、第3Qのみで20点という大暴れ。
何より、ライスがボールを持って3のラインで屈んだ瞬間ベンチが総立ちになるのが見ていてたまらなかったですね。
ジョーダンとペニーが真っ先に立ち上がって両手を上げていたんですが、3ポイントでみんなを総立ちにさせるなんて、すごいプレイヤーだと。
そして、何よりグレンライスがすごいプレイヤーだと思ったのが、そのシュートフォーム、身体の使い方。
これは自分自身がシューターと呼ばれるようになってから更に思い知ったのですが、彼のようなシュートを打てるプレイヤーはまずいない。
自分としては、理想的なシュートというのは、
手で打つのではなく
足で打つ
野球でも腕の振りでバットコントロールするのではなく、腰のフリから身体の軸を安定させ、それがあってのバットコントロールにつながるように、
バスケのシュートも下半身の上手い使い方があってこそ、良いシュートが打てるそういうものだと思っています。
NBAにもたくさんの優れたシューターがいますが、私は未だかつてライス程上半身に力みがなく、下半身、膝のバネを上手く利用してボールを飛ばす選手を見た事がありません。
当時小学生だった私の目からしても、彼のシュートは他のプレイヤーと違って何かすごい、という事は分かりました。
後に彼のシュートフォームを研究して、手で投げて飛ばすのではなく、膝を使ってうまくボールに下半身でためたパワーを伝えてボールを飛ばす、という練習をしていたのですが、マスターは全く出来ませんでした。
同じ黒人選手と言えど、NBAの他のプレイヤーもそれを出来ている方は少ないですから、やはりライスのフォームは圧巻です。
NBAナンバー1シューターは誰かと聞かれたら、
レイアレン、レジーミラー
といった代表的なシューターを私は真っ先にあげるでしょう。
ボールのもらい方、クイックリリース、クラッチタイムの正確性、など比べたらライスは上で挙げたプレイヤーよりも劣るのは事実。
そして言ってしまえばシュートなんてものは、入れば何でもいいんです、どんだけテキトーに打ってもそれが入るなら誰も文句はない。
ただ、単純にシュートの美しさ、身体が真っ直ぐ上方に伸び、上半身はリリースのためだけに、下半身のバネを使って、理想的な軌道を描く、無理の無いフォーム。
これがあくまでも私にとってですが、本当に理想的に出来ていると思ったのは、
グレンライス、彼がナンバー1でした。
最初に見て衝撃を受けたから思い出補正がある事実は否めないでしょう、しかし今冷静に見ても私にとって理想的なフォームを確立していたのは彼だけだと思えます。
ミラーはものすごいシューターです。
ただボールはほぼ無回転、腕でぶん投げてる、リリース後両腕がクロスしてたり、あまり真似したいとは思いませんでした。
しかし、ミラーはあのフォームだからレジーミラーである、そして入ってるから文句無し。
レイアレンも、歴代ナンバー1シューターと言えるでしょう。
あのクイックリリース、ボールの回転、そして何よりもボールを受け取るまでの動き、正に最高峰。
しかし、アレンでもやはり若干手でボールをコントロールしてる感は否めません、そしてアレンのFTを見れば一目瞭然だと思いますが、FT時は膝を全然使ってません、完全に伸びきってます、これも入りまくってるから彼にとってはそれが彼の最高のフォーム。
ライスは、身体能力もさほど高い方ではないですし、動きが素早いわけではないです。
自分から動いてスペースを作って行くよりかは、待ってもらうタイプ、そしてポジションもSFですから、ピュアシューターとは呼び難いかもしれません(このオールスターのアナウンスではやはりシューターと言われてますが)。
ただ、
シュートを放つ。
この単純な動作において、
自分の目に焼き付いて離れない、それこそシュートというものにアート性を感じさせてくれたのは、ライスでした。
このオールスターで衝撃を受けた私は、その後家でもより一層シュートに励むようになり、中学校ではバスケ部に入る決心をしました。
中学三年時、身長の関係もあって、それからバックコートの二人がめちゃめちゃ足速いのもあって、私のポジションはSF。
たまにポストにも入り、リバウンドも取る。
しかし、メインは3ポイント。
今でもプレイスタイルはライスに近いものがあると思います、友人からはピアースっぽいと言われますが(笑)
私にとって初めてブラウン管を通して憧れたヒーロー、それはライスでした。
では最後に、ライスが56点取った試合のハイライト動画を貼っておきます。
更にその96-97オールスターのフル動画、全部アップロードはいいのかどうかは置いといて、良い時代だなとしみじみ… 3Qから圧巻です。
というわけで、グレンライスJRはちょっとひいき目で応援しようかなと思います(笑)
それでは。
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自分は小学生のときは野球少年でしたが、中学で坊主にするのが嫌で野球は断念しました(笑)
中学でサッカー、バレー、ハンドボール、バスケと候補はあったけど、バツグンにカッコ良かったバスケに恋に落ちました(^^)
NBAにはまったのはそれから程無く…そしてcarterさんもよくご存知のソニックスにドはまりしました(^^)
やっぱり、初恋の相手はいつまで経っても、輝きが違うね!もちろん、ライスは間違いなくいい選手♪
あとは好みの問題にもなるんだろうけど、第一印象って大きいですね!
今はほとんど観れてませんが、来月からは観れる環境に戻るんで、またそんなトキメキを感じる選手に出会いたい!
ペイトン&ケンプを超えるゴールデンコンビ!出てこいやー(笑)
やっぱり最初に影響を受けた選手というのはいつまでも輝くものですよね。
私の予想ですが、俺のカーターを越える選手がもう出ないように、mtoさんにとってのペイトン&ケンプも超えるコンビは出ないと思いますよ 笑