サンアントニオ・スパーズの監督であるグレッグ・ポポビッチが3ポイントが主体となっている現代バスケに苦言を発した。
ポポビッチは現地時間11月26日に行われた対シカゴ・ブルズ戦の前に、インタビューでこう答えていた。
「嫌いだね、これまでずっとそうだよ。20年間嫌いであり続けている。だからバスケの試合に変化をつけたらどうだって毎度ジョークを言ってるんだよ、4点プレーを加えてみようってね。なぜならもしみんな3ポイントが好きなら、4点だって好きになるはずだ。4点プレーが決まれば観客は席から飛び上がって喜ぶんじゃないかな。そこにバスケットボールはもはや存在しない、美しさもない、つまらないものだ。でも現状はそうである、そしてそれに適応する必要があるという事だ。」
ポポビッチが3ポイントを毛嫌いしているコメントはこれが初めてではない、2015年にも「今も嫌いだ。永遠に好む事はない。それはバスケではない、サーカスみたいなものだ。」と発言していた。そして2016年には「5点や7点ショットを加えたらどうだい」とのジョークも飛ばしていた。
今回この発言が再び物議を醸し出したわけだが、リーグで最も3ポイントを強みとしているゴールデンステイト・ウォリアーズのステフィン・カリーはその意見を否定していた。
Steph disagrees 😂 pic.twitter.com/dwNhdnxwEq
— Bleacher Report (@BleacherReport) 2018年11月30日
Bleacher Reportは、ポポビッチの発言「そこにバスケットボールは存在しない、美しさもない。とてもつまらないものだ。」を引用した画像をインスタグラム(とツイッター)で投稿、そして「バスケの試合はそれ程までに変わってしまったのか?」とコメントを添えた所、カリーがコメントで、「Nope!(そんな事はない!)」と返信していた。
ちなみにこのカリーのコメントに対し、「お前のせいだよ!」とファンからコメントがついていたのはちょっと笑ってしまった。確かに彼は有り得ないレベルで3を決めすぎている、しかしルール違反などではないので問題ないどころか彼はそのルールを最大限に生かし勝利を収めている最高の例である。
またポポビッチのこの発言にカリーが反応したのもあり、SNS上では彼がウォリアーズのバスケを嫌っているとの意見も出ているが、実はそんな事はない。むしろポポビッチはウォリアーズのバスケを讃えるコメントを以前していた。
Pop appreciates Golden State’s game. pic.twitter.com/bv7slC8tX1
— Bleacher Report (@BleacherReport) 2017年1月25日
「彼ら(ウォリアーズ)はもはや私たちと異なるリーグにいる。彼ら(のバスケ)は美しい。」
3ポイントは好んでいないものの、優れたモーションオフェンスで最も効率的に点を取る彼らのバスケをポポビッチは理想的なものと理解している証拠だった。
スパーズは今季これまで1試合平均9.4本の3ポイント成功数を記録しているが、これは最下位のキャブズに次ぐ少なさでリーグ29位。昨季は8.5と更に少なく27位だった。ちなみにカワイ・レナードが健康であった2016-2017シーズンは9.2本で16位タイとなっていた。年々3ポイントの重要性が増しているのがよく分かる。
現在スパーズは10勝12敗とサンズに次ぐ西の14位と長年常勝軍団であったのが嘘のように下位に沈んでいる、この原因に3ポイント成功数の少なさは無関係とは言えないだろう。要所で3ポイントを決めていたダニー・グリーン、そして3ポイントシューターとしても平均以上のシュート力を持ったレナードがラプターズにトレードされ、逆に3ポイントを得意とはしていないデマー・デローザンが加入したため主力のアウトサイドが強化されたわけではない。デローザンは今季3ポイントが1試合1.5本のみの試投数で成功率はわずか18.2%だ。デジョンテ・マレーが怪我で離脱した事によりスターターでポイントガードを務めているブリン・フォーブスが44.7%の高確率で1試合2.3本の3ポイントを沈めているのは好材料だが、やはりチーム全体で十分とは言えない。スパーズは3ポイント試投数もキャブズに次ぐ少なさで現在1試合24.8本(1位のロケッツは42.5本)、しかし成功率はなんと37.9%でリーグ4位なのだ。つまり3は入るものの、打っていない、それが現在のスパーズ。この数字を見るとポポビッチの美学がチームオフェンスにブレーキをかけてしまっていると思っても間違いではないかもしれない。
現代のバスケで有利に試合を進めるには3ポイントは必須要素となっているが、インタビューの最後の一言が示す通りポポビッチ自身もそれは痛感している事だろう。現在スパーズは大差で敗れる試合も目立ちディフェンスでも課題がある状況だが、名将ポポビッチが攻守においてどうアジャストを試みるか。20年連続で50勝をあげる(98-99シーズンはロックアウトでシーズンが50試合に短縮され37勝だが、82試合に換算すると50勝越え)という快挙を達成していたリーグ屈指の強豪スパーズだが、ティム・ダンカン、マヌ・ジノビリ、トニー・パーカーというチームの柱であったBIG3が全員去って初のシーズンとなった今季、今こそポポビッチの手腕が問われる時だ。
参考記事 : Bleacher Report
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いろいろ思うところもあるんだろうし
日本と海外だとスポーツに対する姿勢も違うんでしょうがこういう発言するべきではないかと。
サッカーでいうなら私はオフサイドが嫌いだ。みたいなものですかねそれともPK?