今までシャック、ワールドピース、コービー、アイバーソン、クリスウェバーなどがCDをリリースして来ており、あまり珍しい話ではないNBA選手のラッパーデビュー。
バスケットボールとヒップホップはアメリカ文化としても切っても切れない関係にありますから、彼らNBAプレイヤーがラップをするのも不思議ではありません。
しかし彼らの本業はあくまでもバスケットボール、そのクオリティは一流のヒップホップアーティストに比べると若干の物足りなさを感じるのはごく自然な事ではあるのですが、、、
現ポートランドトレイルブレイザーズのデイミアンリラード、リーグを代表するPGである彼がリリースしたアルバムはあまりにも本格的すぎる、その道のプロを喰ってしまうレベルと話題になっています。
こちらは彼が今年の1月にyoutube公式チャンネルで公開した楽曲ですが、
もはやその道のプロにしか聴こえません。
そして、私のお気に入り。
彼のアーティスト名義は、
Dame D.O.L.L.A、デイムドラ。
DOLLAは Different On Levels Lord Allowsの頭文字を取っています、恐らく彼がクリスチャンである所から来ているのでしょう、意味は直訳すると「神が与えたレベルで異なる」でしょうか、それが何を意味しているのか定かではないですが。
そんなデイムドラが今回リリースしたアルバム、The Letter O、「Oという文字」、このOはリラードにゆかりのある三つの地、生まれ故郷のOakland、大学のあるOgden、そして現在ブレイザーズの本拠地があるOregonを象徴しています、このOはそのまま0として彼の背番号にもなっていますね。
アルバムには全12曲収録されており、一曲目はブレイザーズの永久欠番であるビルウォルトン(現LALのコーチであるルークウォルトンの父)の名を採用した楽曲から始まり、彼のボーラーとしてのライフスタイルが色濃く表われたリリックを含んだ曲が続きます。
以下、彼の公式SoundCloudからトラックリストです、プレビューも聴く事が出来ます。
何気にフィーチャリングとして、リルウェイン、ジュヴィナイル、ラファエルサディーク、ジェイミーフォックス、マーシャアンブロージアスなど実力者が勢ぞろい。
メロウなビートで聴きやすくかなりクオリティの高い傑作となっているわけですが、リラードはこのアルバムのリリース報告を自身のインスタグラムで行いました。
そしてこれを聴いた現ブルズのドウェインウェイドは、自身のインスタグラムで「彼はオンコートでもオフコートでもヤバい奴だ。」と大絶賛。
またファンの反応も、
「ラップで食っていこうとしていない人が、本物のラッパーより上手い、切ないね。」
「一体誰が年間ベストアルバムがNBAプレイヤーから飛び出すって予想できたんだ?」
「全く汚い言葉を使ってないのは彼らしい。」
「NBAのTOP5のガードで、めちゃくちゃラップが上手い、才能ありすぎだろ。」
「素晴らしい作品だ、クリーンなトラックだし聴きやすい、本当に素晴らしい。」
と完全に一流アーティストとして認知されており、皆そのあまりのクオリティの高さに驚きを隠せないようでした。
これだけ聞くといきなりラッパーとして大成したイメージがありますが、彼は以前からSoundCloudを通して楽曲を公開しており、更に昨年スウェイキャロウェイがホストをしているモーニングショーのSway in the morningではフリースタイルを披露し、NBAのベストラッパーと称されていました。
昨年7月には1stシングルの Soldier in the Game をリリース。
そして今年、ステイトファームのミュージックPVでもケビンラブのフックと共に歌っており、そのラップスキルが際立っていました。
リラードは決して裕福とは言えない家庭で生まれ育ち、幼い頃は木の枝に向かってシュートを打っていたそうです。そしてある日その枝が切られてしまい怒っていた所、祖父が牛乳瓶の箱があるからこれで練習すれば良いと提案し共にその箱の底に穴を開け、それを電柱に結びプレーを続けたのです。
周囲はドラッグの世界に引きずり込まれるような環境で、自分を律しバスケに打ち込んでいったものの、高校時代は満足なプレイタイムをもらえず、更に私立で裕福な生徒が集まる環境にも馴染めず二度の転校を経験。
そしてウィーバー州立大というほぼ無名の大学に拾われる中で実力を発揮、ついに夢であったNBAデビューを果たしトッププレイヤーに上り詰めたという苦労の跡が伺える過去がありました。
「自分は苦労したバックグラウンドがあるから、困難があっても乗り越えられるんだ。」
そう語る彼だからこそ音楽を通しても世に伝えたい事がある、自分がお世話になった土地に恩返しがしたい、そうした思いがありリラードはこのオフを利用して本格的に音楽活動に力を入れ、今回のアルバムThe Letter O(購入はiTunesから)のリリースに至ったというわけであります。
本業はあくまでもバスケットボールなので無理強いは出来ませんが、これだけの突出したラップスキルがあるとなると音楽活動の方もかなり期待してしまいますね。
ちなみに現在のリーグでは彼以外に目立った音楽活動をしているプレイヤーというのはいないと思いますが、実は現ロケッツのスーパースターであるジェームスハーデンも驚きの歌唱力を秘めていたりします。
こちらは2013年と少し古いですが、フットロッカーのCMで当時NIKEと契約していたハーデンとカリーが出演したモノです。
カリー「ジェームス、頼むから止めてくれ。」
ハーデン「俺の時代が来てるんだ、今こそフレッシュに行かないと。」
カリー「それならフットロッカーにフレッシュな服や靴があるじゃないか。」
ハーデン「でも俺には才能がある。」
カリー「…再生してくれ。」
…
ハーデン「ぇ、これ俺?」
はい、それではフルで聴いて頂きましょう、ジェームスハーデン feat. ステファンカリーで「ハーデンソウル」です、どうぞ。
もはや病みつきになる程の歌唱力、流石はハーデンです、これからは是非バスケットボール一本で伝説を作っていってほしいと思います。
それでは最後にNBAスター達によるラップ総集動画を貼らせて頂いて締めにいたします。
こうして聴いているとリラードのラップはより深い所からパワーが、その魂が伝わってくるような印象を受けます。
スキルが突出しているのはもちろんですが、そのダイレクトに伝わる内に秘めた思いが何よりも人々の心を動かしているのかもしれませんね。
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