やはりウォリアーズは強かった。
現地時間6月8日にクイックン・ローンズ・アリーナで行われたNBAファイナル第4戦はゴールデンステイト・ウォリアーズが108-85で勝利、見事無傷の4連勝スウィープで2連覇を達成した。
The 2018 NBA Champions… Golden State @Warriors! #DubNation#NBAFinals#ThisIsWhyWePlay
🏆🏆🏆🏆🏆🏆 pic.twitter.com/204NrgyDyk— NBA (@NBA) 2018年6月9日
一昨年のファイナルではキャブズに史上初となる1-3からの逆転優勝を許し、昨年は同カードで3-0と追い込みながら1勝を許した流れから今日の試合にかける意気込みは相当なものがあったのだろう。第2クォーターに一時1点リードを許した後は順調にリードを拡大、このプレイオフで圧倒的な強さを誇っている第3クォーターで25-13とキャブズを突き放し、最終クォーター突入時には86-65の21点差をつけキャブズの戦意を喪失させた。
▼第4戦フルゲームハイライト▼
ウォリアーズは第3戦で不発に終わっていたステフィン・カリーがゲームハイとなる37得点を奪取、更に6リバウンド・4アシスト・3スティール・3ブロックとオールラウンドな活躍でチームを牽引した。この日のカリーは得意の3ポイントを7/15で成功、一瞬の隙があれば容赦なく放つ長距離砲で再三キャブズディフェンスを苦しめた。中でも第1クォーター序盤に決めたJRスミスのファールを誘いながらのオフバランスディープ3は強烈なインパクトを誇った。スミスがコンタクトを避けたためファールコールは吹かれなかったが、あのタフショットを決められては堪らないだろう。そして巧みなハンドリングを生かしたドライブからキャブズディフェンスを翻弄、オープンに的確なパスを放つなど司令塔として申し分ない働きを見せた。
▼ステフィン・カリー 第4戦 ハイライト▼
そして接戦となった第3戦で43得点・13リバウンド・7アシストの大爆発を見せたケビン・デュラントが今日も安定の活躍。20得点・12リバウンド・10アシストをあげキャリア初となるプレイオフでのトリプルダブルを達成した。長身を生かしたミスマッチからの高確率ジャンパーに加え、ドライブからディフェンスを引きつけキックアウトとシリーズを通して止める術がない脅威と化した。
▼ケビン・デュラント 第4戦 ハイライト▼
デュラントは、この4戦で一試合平均28.8得点・10.8リバウンド・7.5アシスト・2.3ブロックを記録、更にフィールドゴール成功率は52.6%、3ポイントが40.9%、フリースローが96.3%と50-40-95の高いシューティーングパフォーマンスを披露。昨年のファイナルではFG55.6%、3FG47.4%、FT92.7%と史上唯一となる2年連続でのファイナルで50-40-90を達成したプレイヤーとなった。
更にデュラントは2年連続でのファイナルMVPも受賞、レブロン、コービー、シャック、ジョーダン、オラジュワンに続き史上6人目となる偉業を果たした。ちなみにMVP投票ではデュラントが7票、カリーが4票を獲得していた。2015の優勝時はイグダーラ、昨年はデュラントが受賞していたのもあり、今年こそはチームの顔であるカリーが受賞かと期待されていたがカリーが第3戦で不発に終わり、デュラントが接戦となったその第3戦で大活躍、更に高確率のシュートパフォーマンスに加えシリーズを通してオールラウンドに活躍した事により2年連続でMVPを受賞となった。
KD joined some legends tonight. pic.twitter.com/HkttO8bHOX
— Bleacher Report (@BleacherReport) 2018年6月9日
Kevin Durant is the 6th player to win back-to-back Finals MVPs.
He joins LeBron James, Kobe Bryant, Shaquille O’Neal, Michael Jordan and Hakeem Olajuwon. pic.twitter.com/vv8bUaFVTT
— ESPN Stats & Info (@ESPNStatsInfo) 2018年6月9日
オクラホマシティ・サンダー時代には大舞台に弱いとの評価を下されていた感のあるデュラントだが、ウォリアーズ移籍後の活躍は実に見事だ。オールスターが多く揃うチームであるためディフェンスが集中し辛く自由に動けているという面はあるだろうが、勝負所でタフなクラッチショットを決める様、そして優れたパッシングスキル、ディフェンススキルは確実に彼がプレイヤーとして成長をした証と言えるだろう。
▼デュラントのファイナルBESTプレーハイライト▼
一方惜しくも4戦スウィープで敗れたキャブズは、レブロンが40分の出場で23得点・7リバウンド・8アシストの活躍を見せたがウォリアーズを追い詰めるには至らなかった。またキャブズにとっての生命線となっている3ポイントが8/27の29.6%と不発、第3戦29%、第2戦33%、第1戦27%とウォリアーズがクローズアウトを徹底し気持ち良く外を打たせなかったのはもちろんだが、シリーズを通してオープンであっても高確率で沈めることが出来なかった。
勝負の第4クォーターに追い上げる事が出来ず時間だけが過ぎていったキャブズはレブロンを第4クォーター残り4分を残した時点で交代。レブロンはウォリアーズの選手とタッチを交わしながらベンチへと下がった。アリーナに詰めかけたファンからは大歓声、そしてMVPコールが送られた。
今季孤軍奮闘状態でチームを牽引し東4位からファイナルの舞台へ導いたその貢献度に対して、また今夏にフリーエージェントとなる可能性のあるレブロン(プレイヤーオプション付き)の移籍の噂が絶えないためこれがキャブズメンバーとしてのラストゲームになる可能性がある、恐らくこの二つの意味が重なりあった賛辞だったように思える。
▼ベンチへ下がるレブロン▼
レブロンは今季レギュラーシーズンとプレイオフを合わせて計104試合をプレー、これは33歳にしてキャリアハイの試合数、更にレギュラーシーズンとプレイオフで最多出場時間を記録した史上最高齢の選手となった。今季の彼の活躍は永久に語り継がれるレベルの超パフォーマンスであり、このファイナルでの奮闘も素晴らしいものであった。
最後で敗退したものの全てに対し賞賛されるだけの貢献をしたレブロン、しかしそんな彼の口から最後の最後で衝撃の失態とも言える事実が明かされる事となった。
レブロンが右手にギブスをつけているのを見た記者が、手を怪我しているようだが何があったのかと質問を投げかけた所、彼はなんと第1戦での敗戦後、自傷行為により利き手である右手に打撲(レブロンがbroken handという表現を使ったため骨折と伝えられたが正確には骨は折れていないらしい)をしていた事を明かした。
▼出だしから手の怪我に関する回答▼
第1戦では終始良いプレーをしながらアウェイで先勝をあげる絶好の機会を逃し敗戦、感情的になりそれを発散させるためロッカールームでホワイトボードを殴ったそうだが、不幸にも大怪我を負う事になってしまった。彼はそれから二度のMRI検査を受け、ウォリアーズに知られないよう試合以外でのみギブスをつけていたそうだ。ちなみにインタビュー内では自傷行為と言ったがボードを殴ったとは発言しておらず、関係者から伝えられた。
▼腫れ上がった右手▼
LeBron had a cast on his right hand after Game 4. Here’s a closer look at the swelling from an in-game photo: pic.twitter.com/Qhz5kEoz0A
— SportsCenter (@SportsCenter) 2018年6月9日
第2戦以降ミドルのジャンパーと3ポイントよりもインサイドへのアタックを重視していたように見えたが、この怪我が原因だった事は明らかだ。そして怪我をする前の第1戦では51得点の大活躍を見せていただけに、もしこのアクシデントがなかったらと考えてしまうのは当然かもしれない。しかしそれでも30点越えのトリプルダブルを記録するなど高いパフォーマンスを維持出来たのは流石である。恐らくこの真実が告げられていなかったら彼が重度の怪我をしていた事に気づく者はいなかっただろう。
LeBron’s injured right hand didn’t slow him down much. pic.twitter.com/EMeSgRqUWy
— SportsCenter (@SportsCenter) 2018年6月9日
▼レブロンのファイナルBESTプレーハイライト▼
今ファイナルは4戦スウィープという結果となったが、この結果に驚いたものはそれ程多くはないはずだ。カリー、デュラント、トンプソン、グリーンのBIG4を要する王者ウォリアーズに死角はなく、逆にキャブズはレブロン一人が奮闘する状況、そのチーム力に差があるのは明白だった。
ウォリアーズは2年前にデュラントを獲得して以来2連覇と予想通りの圧倒的強さを誇っているが、来季も現在の主力をキープし3連覇に臨む態勢に変わりはないだろう。デュラントも今夏にFAとなる事が出来るが残留は濃厚だ。
果たして来季こそは王者ウォリアーズを脅かすチームが現れるのか、それともウォリアーズが3連覇を成し遂げ王朝を築き上げるのか、そしてレブロンはどのチームのユニフォームに袖を通しているのか。
来季も白熱必至のNBAから目が離せない。
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