このブログで一応メインとして扱っているダンクシュート、
それは単にバスケにおいての一種のシュートに過ぎませんが、時にはそれが
more than just a dunk.
ただのダンク以上の意味を持つ事があります。
昨シーズン、ドラフト1巡目15位でホークスより指名されたミシガン州立大出身のエイドリアンペインをご存知の方は多いと思います。
ホークスではあまり出場機会に恵まれず主にDリーグでのプレイを余儀なくされ、シーズン途中でウルブズへトレードされた彼ですが、持ち前の身体能力で時折豪快なダンクを見せてくれます。
そんなダンカーとしても優秀なペイン、実はミシガン州立大時代に彼のバスケットボールライフの支えとなる存在と出会っていました。
その名はレイシーホルスワースちゃん、ペインと出会った当時彼女は7歳、そしてブロンドの長髪ウィグを着けた彼女は幼くして小児ガンと闘病する身だったのです。
ペインは大学のスポンサーである病院へチーム全員で滞在した際、丁度病院を訪れていたレイシーちゃんと出会いました。
プリンセスレイシーのニックネームで親しまれたレイシーちゃんは出会って間もなくしてペインの人柄に惹かれ、ペインも時間がある時にレイシーちゃんの元を頻繁に訪れるようになり、後に彼の所属するミシガン州立大のゲームにも招待するようになりました。
そして彼女はチームにとって勝利の女神となり、ミシガン州立大は見事Big 10トーナメントで優勝を果たす事になったのです。
この時ペインはレイシーちゃんが自らの足で歩く負担を考え、彼女を抱えながらコートを一周、優勝記念として行うバスケットフープのネットカットを二人で行いました。
ペインにとってレイシーちゃんは大切な心の支えとなり、大事なイベントでは常にそこにはレイシーちゃんの姿があったのです。
そしてそれはペインが参加したNCAAダンクコンテスト2014でも見られました。
コートサイド最前列の特等席に招待されたレイシーちゃん、ペインはその一投目、ダンクの動作に入る前に一度レイシーちゃんにボールを触らせるよう駆け寄る何とも優しさ溢れる行為を見せたのです、それにより彼女も一緒に参加するんだという表現、そして彼女の幸運をボールに伝える正にそんな仕草でした。
レイシーちゃんのためにチームとしても援助をしたミシガン州立大のヘッドコーチであったトムイゾーは、
「私達がしている事はごくごく小さな行いかもしれないが、それが彼女にとってはとても大きな意味を持つんだ。」
と発言したのを象徴するようなペインの行動でした。
そしてレイシーちゃんのパワーを内に秘めて跳躍したペインの一投目は、
360からのボースハンドパンプダンク。
回転のスピード、ボールを下げる角度、パワー、一発で成功したそのダンクは見事満点を記録しました。
しかし驚きはそれだけでは終わりません、素晴らしいダンクを披露したペインを見守る他プレイヤー達はダンクが決まった直後コートサイドにズラリと並び、何とペインはボウリングの動作からバスケットボールをアンダースロー、全員がボウリングのピンとなって一斉に倒れるパフォーマンスで会場を大いに盛り上げたのです。
これはレイシーちゃんへの思い出作りのために全員で仕組んだものかは定かではないですが、間違いなく彼女にとって忘れられない一時となったことでしょう。
続くペインの二投目は、ボールを二つ使ったダブルボールダンク、左手でダンクを叩き込んだ後、右手でややウィンドミル気味にボールを旋回して叩き込みました、これがまたしても満点となる好調ぶり。
そして決勝進出か敗退かを分ける三投目、ペインはレイシーちゃんが「Rock it out SUPERMAN!!!! I love you!」とツイートしたのを見て、彼女からスーパーマンのTシャツを受け取りダンクにトライ。
惜しくもこの一投は最初に披露した360とスタイルが似ていたため得点は伸びず、決勝進出はなりませんでした。
ペイン程のパワーがあれば無難にワンハンドでウィンドミルでも叩き込んでいれば決勝に進めただろうと個人的には思うので、非常に残念ではありました、、、が、レイシーちゃんのためにスーパーマンTシャツでダンクを決めた、勝敗よりもそれが大きな意味を持っていたのでしょう。
優勝はなりませんでしたが、レイシーちゃんにとってペインが見せてくれたこの3発のダンクは、他のどの選手が見せてくれたダンクよりも素晴らしいものとなった事は間違いありません。
バスケを通し、日常を通し、常にレイシーちゃんを支えたペイン、実はそんな彼は13歳の時に母を亡くしていました。
彼自身もそうして困難を乗り越えて来た境遇だったからか、ガンと闘病する少女を見て自分と重なる何かを感じたのかもしれませんね。
「どんなに辛い時でも、事が上手く運んでいない時でも、彼女は笑顔を絶やさないんだ、レイシーの笑顔が自分を支えてくれた、彼女は自分にとって妹のような存在だ」
ペインはそう語りました。
そして、ペインとミシガン州立大のバスケチームからたくさんの愛を捧げられたレイシーちゃんは、2014年4月、8歳の若さでこの世を去る事になりました。
彼女の生涯は非常に短いものでありましたが、それは決して不幸と直接結びつくものではないでしょう。
「それは悲しい事かもしれないけど、それと同時にすごく幸せなの。私はいつでも彼の事を考えているのよ、彼の事が大好きなんだから。」
彼女はインタビューでそう語っていました、ガンになっていなかったらペインの優しさと出会うことはなかった、ミシガン州立大のバスケチームを通してたくさんの掛け替えのない思い出が出来ることはなかった、彼女は天国でこうした境遇で生まれた事を悔やんでいるでしょうか、私はむしろその逆だと思います。
「レイシーは天使となって俺を見守ってくれている。」
そう語るペインは、今でも誰よりも強くレイシーちゃんの存在を感じているのでしょう。
RIP Lacey Holsworth.
Heaven just got a whole lot brighter. RIP, Princess Lacey. You were a light for all of us. We are all Spartans today. pic.twitter.com/jWY3d5kKHe
— Support Michigan (@SupportUofM) 2014, 4月 9
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ガンになれてよかったと思ってるってことですか・・・
それはどうかと思いますけど
Ayhanさんコメントありがとうございます。
それに関しましては本人のみぞ知る、、、ですね、そう考えますとあえて私が判断すべき事ではない気はします。
ちなみに私は今までの経験からガンそのものを「悪」とは見ておりません、何事も捉え方次第ではあると思います。