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セルティックスファン必読、アイザイアトーマスがボストンへの思いを綴った手紙を全文和訳しました

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先日衝撃のトレードでキャバリアーズへと移籍する事になったアイザイアトーマス、ここ数シーズンに渡ってボストンで愛された彼がこの度古巣への思いを綴った手紙をプレイヤーズトリビューンを通して公開しました。

その内容は一部を抜粋した記事がNBA.com公式で掲載されNBA JAPANでも和訳されてはいますが、原文に目を通した所「これは全て通して読まなければ彼の真意は伝わらない」そう強く感じたので今回全て和訳させて頂きました。

正直セルティックスファンの方はもちろん、彼を新たに迎い入れるクリーブランドファン、そして今のNBAを見ているファンの方々全員にとってもとても有意義な内容になっていると思います。ボストンの話題以外にも、クリーブランドでの意気込み、そして昨季のケビンデュラントを含めた移籍問題に関しても触れており非常に興味深いです、つまり全員に読んで頂きたいと言う事ですね(笑)

そこそこの文章量があるので、飲み物でも用意してまったりと読み進めて下さればと思います。

それではどうぞ。

 

 

This is for Boston (ボストンへ捧げる)

2017年9月

アイザイアトーマス / クリーブランドキャバリアーズのガード

 

それはなかなか面白い出来事だった、俺はそれまでお祝いをしていたのだからね。

ダニー(ダニーエインジ、BOSのGM)から電話を受け取った時、俺は空港を離れる所だった。妻ケイラ、そして俺は結婚1周年記念を祝って帰ってくる所だったんだ。マイアミに数日間行っていた、そして今はシアトルだ。家に向かい運転中だった。

俺はその時車内で何かをしていたに違いないと思うが、電話に気づかなかった。ダニーはメッセージを一通残した。

「IT、時間がある時に電話をくれ。」

何か劇的に聞こえはするが、それはダニーからならごく日常的な事だったからどんな話題にも取る事が出来た。だから俺はまだ運転中ながら別段考え込むこともなく電話を折り返した。彼は俺が旅行中だと知っていたんだろう、彼はそれらについていくつか質問をしてきた。俺も彼に家族は調子どうだいなんて聞いたんだ。ごく普通の何気ない会話さ。

すると会話の途中でしばし何もない時間が流れた。会話中の小さな沈黙だった。そして彼は口を開いたんだ。

 

「僕は君をトレードした。」

 

ごく単純。特に重大な単語は飛び出さなかった。長いスピーチでもない。だがそんな事を言われたら、こちらからたくさんの事を話す気にはならない。

「どこへ?」

それが俺が唯一発した言葉だった。

 

「カイリーと引き換えに、キャバリアーズだ。」

 

そしてその瞬間、俺は電話に出ていて誰かが話しかけているのを聞きながら急に、もう電話をしていたくない、そんな心境に陥らざるを得なかった。別に無礼な切り方をするわけではなくて、ただ会話する気力が一気にシャットダウンされた感じだった。それが俺がトレードを知らされた時の感情だった。

ダニーは俺がボストンに捧げた全てを語り始めた、セルティックスの組織のために、コート上でも外でも。俺がいかに優れたプレイヤーだったか、そして俺がクリーブランドでどれ程偉大になるか。このタイミングでそんな事を聞かされるなんて、俺はそれらの全てを聞き入れたくはなかったんだ。

だから俺は冷静に彼を数回遮断しようと試みた、そして俺はそれを強行した。それはこんな感じだったんだ。「連絡をくれて感謝しているよ、しっかり教えてくれて、でも今はこれ以上俺もダニーも話すべきことはないよ。」

まとめるならそんな感じさ。

それが電話の内容だった。

 

あぁ、その時はたくさんの事が一気に頭の中を駆け巡ったよ。でも俺はその時それらを考えている余裕はなかったんだ。俺の本能は最初にそれが家族にとって何を意味しているかを把握しなければならなかった。二人の息子について考えていた。ジェームズとジェイデン、彼らに変化の時と告げなければならない。俺はそれが彼らにとって驚きとなる事を知っていた、まず学校の新学期が始まるこの時期、そして次に彼らにとってようやくボストンが故郷と感じられるようになってきていたからだ。それは俺たち家族全員にとっても同じだ。

 息子たちは俺とケイラが離れている間俺の母の所に滞在していた、そして空港から家に着くや否やフェイスタイムを使って彼らとコンタクトを取った。俺はそのニュースが遅かれ早かれ広まる事は承知していた、でも彼らにはまず自分の口から伝えておきたかった。俺は彼らに何が起こったのか伝えた、お父さんはトレードされたんだって。

長男のジェームズは、やはり俺の子供だって思わされた。なぜなら彼は俺と全く同じ言葉を最初に発したからだ。

ジェームズ「どこへ?」

IT「クリーブランドだ。彼らは俺とカイリーをトレードした。それがつまりどういう事か分かるね。」

ジェームズ「レブロン!レブロンジェームズ!お父さん、お父さんはレブロンジェームズとプレーするんだね!!」

次男のジェイデンは、少し傷つきやすい子で、誰よりもボストンを愛していた。だからそのニュースは彼にとって心痛となると分かっていた。彼がそれを知らされた時のリアクションを見ると、自分の思ったことは当たっていたと実感した。彼は深く傷ついたようだった。

俺はこう言った。

IT「嬉しいかい?それとも、悲しいかい?」

ジェイデン「悲しいよ。」

IT「なぜ?」

彼はこう答えた。

ジェイデン「だってクリーブランドにはスケートパークがないと思うもん。」

彼はスケートの類のものが大好きだった。だから彼はその事に対して確実に怒っていた。(クリーブランドの方々、もしどこかスケートパークを知っていたらツイッターで教えてくれ。)

 

そしてそれから数時間後、ニュースは広まった。俺の全てのSNSは何千通というメッセージで溢れかえった、そして何千というリアクションを受け取った。

09081706PHOTO BY BRIAN BABINEAU / NBAE / GETTY IMAGES

しかし本音を言うと、俺が最初に受け取った二つのリアクションが全てだった。我が息子達から。それが自分が必要とした全てだったんだ。全ての意見、全ての噂、全ての専門家の分析よりも、俺の息子達はフェイスタイムでの数分間だけで誰よりも的確だった。そのトレードに関する全て、その瞬間に俺が思った全ての事、それらは彼らが述べた二つの事に凝縮されていたんだ。

一つ目、長男が言った事だ。”レブロンジェームズ” 言い方を変えると、俺は東で最高のチームに加入し、世界最高のプレイヤーと共に王者を目指す事になる。

そして二つ目、次男が言った事。”悲しい” これまた言い方を変えると、ちくしょう、ちくしょう、俺はこの街が恋しい。

俺はセルティックだった事を恋しく思ってしまう。

 

あぁそうさ、本音を言ってしまうと、これは傷つくよ。それも相当。

嘘はつかないよ、今でも心痛い。

それが理解出来ないって事じゃないんだ。もちろん分かっているさ。これはビジネスなんだ。ダニーはビジネスマン、そして彼はビジネスとしての動きを取った。個人的には認めたくないし、ボストンセルティックスがこのトレードによって強くなったとは思ってはいない。でもそれは俺ではなく、ダニーの仕事なんだ。そしてそれは大変な仕事さ、彼はこれまで優秀なことも知っている。終いには、これらの決定は一つの言葉に集約されるんだ、ビジネス。だから最終的には本当に辛い事ではないはずなんだ、俺は成熟した男。このリーグに入った時からどう言う立ち位置に自分がいるのかは知っていたさ。そして今まで悪い事よりも上手く言った事の方が多かった。俺は今不当な扱いを受けたと感じながらここに座り、この文章を書いているわけじゃない。俺は不当な扱いなど受けていない。ボストンが俺をトレードする事は正当な事だったんだ。

 

更に付け足すと、様々な見方をすれば、これは俺にとって良きレッスンと思ってさえいる。俺だけにとってではなく、リーグ全体にとっても。そしてファン、メディアも同様さ、みんなが今チームを移り渡ることの現状について語っている状況を考えるとね。俺は昨年のFAでのケビンデュラントの事を考えていた、彼がFAとして彼の将来にとって最善の選択を選んだにすぎないのに人々がとても辛く当たった事をね。いかにして人々が彼を悪役に仕立て上げたか、彼はこのリーグにおいてFAとして正当な動きをしただけなのに。急に彼はわがままだ、馬鹿野郎だ。急に彼は彼にとってビジネス上で正しいと思える選択をしただけで悪者扱いされてしまった。

今回のこのトレードは人々に気づきを与えるきっかけになると思う。みんなに俺がいかにしてトレードされたかを見てもらいたい、何の忠告もなく自分が全てを捧げたフランチャイズから、こうした扱いを受ける。だから俺は人々はその見方を改める必要があると思っている。いくつか例外もあると思うが、フリーエージェントでなければ、100の内99はオーナーの権限で決まる。プレイヤーが右に左に動かされる、特に何も言われることもなく生活に変化が訪れる、そしてそれは問題にはされない。そしてごくわずかな機会で、プレイヤーが権限を持ったら、それがスキャンダルになるって?ただ俺は正直に語っているだけだが、それは今このリーグがどう言う状況かを物語っている、そして社会にとっても。それはこれから自分達がどれだけ進歩しなければならないかを表しているんだ。

さっきも言ったように、文句があるわけではないんだ。ただまたプレイヤーがFAで去る時に、誰かが標的とし、批判的な記事を書いたり、ひどいツイートをする前に改めて考えてみて欲しいって事なんだ。恐らくリーグを見渡してみると、俺のようなケースの場合、いくら「忠誠心」があったとしても、それはただの単語にすぎない。アナタがそうありたいならそれはとてもパワフルな言葉だが、ビジネスにおいては、それを頼りには出来ないんだ。

それと同時に分かっても欲しいのだが、こんな事をズラズラと語っておきながら… 今も心痛い。とてつもなく。そして俺が「心痛い」と言う時みんなに理解して欲しいのは、それは誰かに向けて言っているわけではないって事。俺は誰かに傷つけられた、誰かに不当に扱われた、また、裏切られた、なんて言っているわけじゃない。俺が言っているのは、俺も一人の人間なんだって事さ。コート上ではタフな奴のように振舞っている。そして勝利をかけて闘っている時はまるで血管に氷が流れている(ice in my veins=冷血)と思われるかもしれない。でもそれは氷なんかじゃない、本当さ。俺には血が流れていて、みんなと同じように心があるんだ。

09081704PHOTO BY JASON MILLER / GETTY IMAGES

だから、俺が心痛いって言う時は、誰かに何かをされた事によるものではないって事を分かって欲しい。それはただ自分がした、ある事が原因なんだ。

 

俺はボストンに恋をしていた。

 

セルティックスが俺をトレードで引き入れた時、俺はそれが何を意味しているか分かった。俺は俺に求められているプレーを知っていた、今までのキャリアで求められて来た事と同じ役割をね。「要所で仕事が出来る、スコアリングガード」「ベンチからのオフェンス起爆剤」「6thマン」。これは4年間で3つ目のチームだ、そしてそれはフランチャイズプレイヤー、将来を託せるポイントガードとなり得るプレイヤーに起こる事ではない。リーグは俺をそうは見ていなかったんだ、それを自覚していた。

そして俺がそのトレードでやって来た時、セルティックスファンもそれを知っていたと思う。彼らは長い再建の過程の一つとして俺がチームに加入したと知っていた、それはプレイオフなどを考える時ではなかったんだ。これらは変化の年、いくつかのアセットを積み上げ、安く若いタレントを見つけ、恐らく負けまくるだろうねって。

少なくともそれが皆が言っていた事だった。

 

そんな状況だった事によって俺はボストンという街に上手く馴染め、これ程までの関係性になったのだと思う。それまでの自分の人生は常に勝つ事が全てだった、そして素晴らしいバスケットボールをプレーする事。でも今はいきなりプロとしてベンチプレイヤーにならなければならない、自分が最低限望める事は再建中のチームでスコアラーになる事。それは何となくその時期のセルティックスと通ずるものがあった、セルティックスはそれまで勝ち続けていた、そして素晴らしいバスケットボールをプレーしていたんだ。しかし今は急に人々がボストンファンに再建期間に入るよ、そしてしばらくはロッタリーチームになるよって告げ始めた。そして自分とボストンは、自分がいるセルティックスというチームとそれを応援するセルティックスファンは同じ心を共有したんだ、同じメンタリティーをね。俺たちはお互いに勝利を望んだ、まさに今、そして批評を相手にしなかった。ロッタリーなんてクソ喰らえだぜ、ってね。

そしてそのプロセスがこの特別な関係性と瞬間を生み出すことにつながったような感じだった。全員の数字や統計を跳ね返し、専門家、リーグ全体を把握している彼らでさえ俺を正しく評価出来た者はいなかった。更に彼らは勝利の習慣を持つことの重要性を理解し得なかった。ファンからプレイヤーへ、そしてコーチへ、フロントオフィスへ、更にはトップへ。俺たちにはそれがあったんだ。ここは俺を一目で判断せず、サイズで決めつけず、それまでと同じ役割に止める事のなかったリーグで初めての場所、初めての組織、初めてのファン達だったんだ。ボストンセルティックスは俺に偉大になるチャンスを与えてくれた。俺はそれを一生忘れない。

 

そういう背景があったから、分かるよね(なぜ自分が忠誠心を持つのか)。人々は昨季のプレイオフについてたくさんの事を尋ねて来る。如何にして妹であるチャイナが亡くなってからもシカゴとのプレイオフ1stラウンド第1戦に臨んだのかって。実は元々プレーしようと決めた理由は、最終的にプレーする決め手となったものと少し異なるんだ。初めにプレーすると決めた理由は正直に言うと、バスケットボールに関してはそれが自分の決めたマインドセットだったから。バスケットボールとは常にそう向き合って来たんだ、人生に何があろうと… バスケットコートに立つんだってね。自分が出来るのは一つコートを見つける事だけ、そうすればコートにいる間は解放されるんだ。なぜなら良い時も悪い時も、自分にとって常にバスケットボールとはそう言うモノだったから。人生を通して、バスケは全てから自分を守ってくれるんだ。

09081705PHOTO BY MADDIE MEYER / GETTY IMAGES

 チャイナが亡くなってアリーナに到着した時、俺は「OK、今があの時だ。このコートを盾にするんだ、このコートに忘れる手助けをしてもらおう。」と考えていた。でも一度コートに立ったら… これは言葉に出来ない類のものだった。みんなから受けた声援、今でも聞こえてくる。彼らが掲げたサイン「THIS IS FOR CHYNA. WE <3 ISAIAH.」今でも脳裏に焼きついている。そして彼らはアリーナ全体でチャイナのために黙祷を捧げてくれた。その時俺は気づいたんだ、コートに盾となってもらう必要はもう無いと。全てを防ごうとすることも、悲しんでなんかいないと振る舞う必要もなかった。俺はこの時孤独ではなかったんだ。アリーナ全体が共にいてくれた。正直、まるでボストンの街全体が共に在るような感覚だった。

その時その出来事が気づかせてくれたんだ、もちろん俺はプレーしないといけないって。まず初めにチャイナのためにプレーする、そして家族のために。しかしこの街のためにも全力を尽くすんだって。なぜなら彼らが今この瞬間に俺に見せてくれているのは、独りじゃないと知るために俺が今夜必要とした全てだったから。彼らもまた俺と共に同じ過程を辿ってくれていると証明してくれたんだ。自分も彼らの一部、共に在るのだと、共に乗り越えようと。

2年半の間、俺達は共に在り続けたんだ。

 

さて、そろそろ率直にこれを言わせてもらう。これはどこの掲示板に貼り付けてもらっても構わないからね。みんな今季のキャブズとは争いたくないと思うはずさ。キャブズファンにとって今季は素晴らしい年となる。本当に素晴らしい年にね。俺は興奮しているんだ。

バスケットボールという視点から見て、俺とキャブズは最高の組み合わせさ。もし君が昨季のセルティックスの試合を見ていたら俺がシュートを放つためにどれだけダブル、トリプルチームを掻い潜らなければならなかったか分かるよね。終いには自分のショットが外れても周りが上手くプレーしてくれていたから大丈夫だったけど、今季は… 問題にすらならないね。俺がこの惑星で最高のバスケットボールプレイヤーと共にコートに立っている状態で、俺に3人も守備をつけられるかい?いや、無理だろうね。

 

それはレブロンに限った話だ。ロスターを眺めてみると、一緒にプレーするのが待ちきれない選手がズラリと並んでいる。ケビンラブ(古きAAUチームメイトの再会だね!)、トリスタントンプソン、JRスミス、イマンシャンパート、俺から言わせてもらえば彼らが東で3年連続勝ち上がったのは偶然なんかじゃない。そしてこのメンバーに俺が加わるんだ、更にデリックローズ、俺の相棒ジェイも?このロスターは、ヤバい。キャブズファンのみんな、暴れる準備は出来ているかい。

もちろん東を席巻しているチームにいるのは… 嘘はつかない。複雑な心境だ。なぜならそれがボストンでの長き目標だったから、キャブズを倒し、東の首位に立つ。今もボストンはそうである事は承知さ。でも今自分がそれを阻止する立場なんだ。それは辛い。もしプレイオフでセルティックスと相見える事になったら… 分からない、説明は難しい。一つ言える事は、ただの以前いたチーム、とはならないって事だ、俺にとっては古巣には変わりないから。優れたオフェンスを構築し、30数試合全米で中継され、FAの選手が来たいと思う場所になった。自分もそれに貢献したと思う、この状況を作った一人だ。

プレイオフになったら、いきなり俺は、OK、ぶっ潰してやるとなるだろう。

それは悲しいよ。ただただ切ない。

でも、俺は負けるためにクリーブランドに来たわけじゃないんだ。

 

さっきも言ったように、トレード成立がニュースとなった時俺はたくさんのメッセージを受け取った。テキストメッセージ、インスタグラム、ツイッター、ボイスメール、あらゆるツールが膨れ上がった。その中でも一つ際立って自分の心に響いたメッセージがあったんだ。それはトムブレイディ(NFL史上最高の選手の一人と呼ばれる、元ボストン&現在フォックスボロを本拠地とするニューイングランドペイトリオッツにデビュー時から所属し続けている)からだった。

トム「調子はどうだいIT?ニュースを見たよ、君は良い感じかい?」

IT「俺は大丈夫だよ。ただクレイジーだよね。冷たい戦だよ。」

トム「あぁ、そうだね。幸運を祈ってるよ。君はきっと素晴らしくあり続けるさ。これからも連絡を取り合おう。」

彼が言った内容が重要だったわけではないんだ、間違いなく彼からそんな事を言われるなんて光栄だったけどね。ただそれはそれそのものが意味していたものよりもっと心に深く残ったんだ。ボストンレジェンドであるトムのような人から個人的にメッセージを受け取るなんて… ほろ苦い感じだったよ。

最初に正直に話すと、少し傷心した。ペイトリオッツでのトムのキャリアを振り返ると、それは俺がセルティックスで築き上げたいと思っていたキャリアそのものだったんだ。ドラフト下位で指名され、喝采を浴びてリーグに来たわけではなく… そしてハードワークと固い決意で、それから人々が見落としていた才能で、勝ち始め、勝って、勝って、勝利を積み重ねる。そして勝利の遺産を築き上げ、ボストンに止まり続け、王者となり残りのキャリアをかけながらボストン史上最高の一人と認められるまで熾烈な競争を繰り広げる。それが俺が自分自身に描いたキャリアだったんだ。頭の中では、俺はブレイディとオルティーズ(MLBボストンレッドソックスで長年指名打者として活躍したプレイヤー、昨年引退)のセルティックス版となりたかった。この次世代のセルティックスバスケットボールを歴史に残るものとしたかったんだ。そしてボストンのスポーツ史に自分も刻まれたかった。だからトムからメッセージを受け取った時は、自分の中で少し傷心した気持ちがあったのは事実だ。

だが、その時俺はそのメッセージについてもう少し深く考えてみた、少し見方を変えてみたんだ。すると俺は気づいた、それはあの超ヤバいトムブレイディからなんだって。そして俺はここに2年半程しかいないんだ。トムブレイディはボストンで2年半しかプレーしていない選手にそんなメッセージを送るだろうか、少なくとも何か特別な事を成し遂げていない限りはないだろう。だから多分、確信はないけどそれはきっと誇りに思える事なんだ。そして俺にとってのボストンでの時間、それが例え終わりであっても、俺が夢描いた形ではなかったとしても、それはきっと誰かにとって意味のあるものだったのだと思う。

 

それが今俺が目を向けている事なんだ。今でも辛い。ここを去るのが悲しい。そしてセルティックのみんなを恋しく思う事は間違いない。でも俺はクリーブランドに行く、そこで俺がするべき事をするんだ。全力でプレーする。昨季は俺が思うキャリアのようには行かなかった、少なくとも最後の月はね。でもそれについて考えると、あれは自分にとってのスタートだったとも思えるんだ。いつでも夢が叶うなんて事はない、そして必ず期待した通りにはなるわけではない。俺は俺であるだけだった。

そしてそれに対しての答えは、俺が何を言っているか分かるかな?そうだよ、俺はトムブレイディにはなれないって事さ。もちろんデビッドオルティーズにもなれない。ビルラッセルにも。ポールピアースにも。ケビンガーネットにも。そしてラリーバードにもなれない。でも今回のトレードがあったとしてもなかったとしても、一つだけ想像したい事があるんだ。

今からそう遠くない未来、ボストンのどこかで、誰かが親となり、子供たちにバスケの話をする。するとその子供が問いかける。無邪気な子供がよくやるように、

「ねぇ、なんでセルティックスのファンになったの?」

ってね。

そしてその親が、思い出を振り返り、本当に考え抜いて、最後に笑って真実を告げるんだ。

 

「アイザイアトーマスのプレーを見たからだよ。」

 

そうなったら俺はとても幸せだね。俺にとっては、それで十分さ。

 

– アイザイアトーマス

 

 

 という内容でした。

約2年半と言う短い期間でしたが、彼がボストンに与えたモノは計り知れません。恐らくボストンファンの方であれば誰もが彼に長くチームに止まって欲しいと思っていた事でしょう。

しかし、彼も語るようにNBAバスケットボールはビジネス、こういった事が起こり得る世界。そしてそれは自らがコントロール出来るものではない。

だから重要なのは、「自分が出来る事に集中する事。」アイザイアは今回のトレードの過程でそう語っていました。

彼は昨日行われたキャブズの記者会見で、ただ一人クリーブランドのチームカラーであるワインレッドのスーツを着用。

 

クラウダーとジジッチを貶すつもりは全く持ってありませんが、アイザイアは辛い気持ちを抱えながらも既に「キャブズの一員」という忠誠心を持っているのだと実感しました。これが彼にとって今出来る事、彼の人生に対する姿勢がよく表れていると思います。

そして人一倍困難を乗り越えてリーグ屈指の選手へと成長したアイザイアトーマス、そんな彼だからこそ所属しているチーム、そしてファンへ対する愛はとてつもなく大きいものなのでしょう。

 

現在アイザイアは股関節の怪我により復帰時期が未定という状況ではありますが、必ずや完全復活を遂げまた素晴らしいプレーを披露してくれる事を心から願っています。

彼のプレー、人柄は人を惹きつける、そしてそれはクリーブランドに限らず全世界にとって必要なものだと思います。

 

これは終わりであり始まりでもある。

人々はこれからも新たなるチャレンジへと立ち向かう小さな巨人を追い続ける事でしょう。

 

SOURCE : THE PLAYERS TRIBUNE

 


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About cata.

cata.
96-97シーズンよりNBAを見始め、それがきっかけで中学からバスケを始める。高校ではNBAファンサイトの運営に夢中になり青春を台無しにする。大学から渡米し7年滞在後に帰国。三度の飯より四度の飯が好きってぐらいダンクを愛するB型アラサー。

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