今日、日本バスケの歴史が動いたと言っても過言ではないだろう。
このオフに2ウェイ契約としてメンフィス・グリズリーズに入団した渡邊雄太、昨日行われた対ホークス戦でプレシーズンデビューを果たし7分の出場時間を得たが、開始直後にポスタライズのダンクを決められるなど早くもNBAの洗礼を浴びた。しかし、一夜明けて迎えた本日のペイサーズ戦でその実力を遺憾なく証明して見せた。
▼プレシーズン 対ペイサーズ戦 渡邊雄太ハイライト▼
本日はマーク・ガソルやマイク・コンリーといった主力を温存する布陣で臨んだグリズリーズ、渡邊の出番が訪れたのは第3クォーター残り3:46、オムリ・カスピと交代でコートに姿を現した。
「昨日の試合では望まない形でのスタート(プラムリーに上からダンクを決められた)となったが、今日は守備面での活躍を期待したいですね。」
と解説があったが、この試合の重要性は本人が一番理解していたであろう。第3クォーターにはオフェンスリバウンド、ボールシェアとチャンスメイクに徹し、オマリ・ジョンソンのシュートを見事な反射でブロックと存在感を示すと、第4クォーターで己のペースを掴む。
スティールからジェボン・カーターにパス、そのリターンを受け取り一気にレイアップと機動力をアピール。記念すべきNBAでの初得点をあげると、続けてコーナーからポンプフェイクで切り込みミドルジャンパーを放つ。これは惜しくも外れたが、的確なシュートセレクション、積極性が感じられたプレーだった。
そして第4クォーター残り7分、ジャレン・ジャクソンJr.のルーズボール争いからこぼれたボールをスティールすると、そのまま両手でのダンクを炸裂。マショーン・ブルックスが渡邊より前線にフリーでいたため、パスをした方が確実だったとの声もあがっていたが、自ら決めるという積極性は現在2ウェイ契約である事を考えると自身をアピールする上で適切な選択だったと取れる。そしてそのダンクはワンハンドでの豪快なものではなく、両手でしっかりホールドし確実性を狙った的確な一発。解説も自ら持ち込んだ事を評価するコメントを発していた。
その後試合は一進一退の攻防が続き、残り13.2秒、3点を追う展開でグリズリーズがタイムアウトを取る。インバウンドからブランドン・グッドウィンのダウンスクリーンで渡邊がトップでボールを受け、マーケル・クロフォードへハンドオフ。渡邊は左エルボーからイバン・ラブのスクリーンを利用し再びトップへ駆け上がるとクロフォードからパスを受けすかさず3を放った。これがバンクで決まり、残り6.4秒で同点。3ポイントで来る事が分かっていた状況で見事に大仕事をやってのけた渡邊。この一連のプレーも渡邊に3を打たせるためのセットで、彼のアウトサイドが信頼されていた証拠だ。
こちらはその一連のシーン、グリズリーズのチームメイトも大喜び。ベンチにいたガソルやコンリーもはしゃいでおり、渡邊が既にチームにとってどれ程重要な存在なのかが一目瞭然だ。
渡邊雄太選手の同点3で湧き上がるグリズリーズ。
本当に、本当に最高のシーンです。 pic.twitter.com/gyA9UtQrWX
— cata.@NBA (@ct_nba) 2018年10月7日
渡邊は追加で得た延長の5分間でも存在感を示し、コーストトゥコーストからディフェンスが集中する中でレイアップを沈め、ドライブからのプルアップジャンパーを決めるなど109-104の逆転勝利に貢献。最終的に出場時間21分でフィールドゴール5/7、3ポイント1/2、計11得点、3リバウンド、1ブロックの大活躍を見せた。
オーバータイムには彼のハイライトも放送。英語が元々話せるわけではない中アメリカに来て大成した事、そしてその精神力と恵まれたサイズ、身体能力、攻守で活躍出来る万能性が称賛されていた。
渡邊雄太選手のハイライトが放送。
アメリカで素晴らしいプレイヤーに成長、強い精神を持ち、サイズがあって身体能力も高く、なおかつオールラウンド、驚きだと称賛されています。 pic.twitter.com/xpsf9wY2tR
— cata.@NBA (@ct_nba) 2018年10月7日
重要な場面で決めたクラッチ3はもちろんだが、適切な判断、積極性が光りその実力を遺憾無く発揮できた渡邊雄太。ディフェンスでオフェンスリバウンドを奪われるシーンは数度あったが、ボックスアウトを常に怠らず攻守でのアピールに成功した。
試合後にはNBAでの初インタビューを英語で受けた。
「(同点3ポイントについて)タイムアウトの際にコーチが自分のためのセットを組んでくれたので、ディフェンスがどれだけ詰めて来ても何がなんでもショットを放つという姿勢でいました。(バンクになった事について)難しいショットで、バンクを狙ったというわけではないですが、入ってくれて嬉しいです。(多めのプレータイムを得られた事について、どれだけ良い気分だったか)とても快適でした。正直に言いますが、昨日はNBAのキャリアスタートとしてはおそらく最悪だったので、出て10秒ほどでダンクも決められましたしね。ですから、もう恐れるものはないと、今日は快適でしたし、とにかく楽しもうという気持ちでした。コーチもチームメイトも常に話しかけてくれて、本当に感謝しています。(ナイスゲームでした)ありがとうございます。」
まだインタビュー慣れしていないというのは明らかだったが、しっかり自分の思いを英語で伝える様はとても立派で多くのNBAファンが好感を持った事だろう。
今日の試合は2ndユニットが主体、その上プレシーズンゲーム、喜ぶにはまだ早いという声も多いが、渡邊が見せたパフォーマンスはこの先に見据える大きな夢への第一歩となった事は間違いない。それと同時に日本バスケの歴史を大きく動かした伝説的な試合となったと言えよう、プレシーズンとは言え紛れもなくバスケにおいて世界最高峰の舞台NBA、そこでクラッチショットを含む二桁得点をあげた事は大いに評価されるべき偉業だ。
本日のNBA好プレーランキングでは、見事2位に渡邊のクラッチショットがランクイン。個人的には1位が妥当だったように思う。
また、グリズリーズのツイッター公式アカウントからは彼の特別ハイライト動画が公開。ベンチリアクションを含めたカメラワークをスローで演出、いかに今日のパフォーマンスが特別なものだったかを物語っている。
ICYMI: Here’s some Grizzmo highlights of @wacchi1013 from last night’s OT thriller!
Watch 🔽 pic.twitter.com/vt9dRhxptW
— Memphis Grizzlies (@memgrizz) 2018年10月7日
2ウェイ契約からNBAプレイヤーとしての本契約に必ず昇格出来る、その手応えをファンに与えた渡邊。長くNBAの舞台で活躍するプレイヤーとなる事を願って、引き続き彼の活躍を見守り、応援して行きたい。GO YUTA WATANABE!
🔥🔥🔥 @wacchi1013 🔥🔥🔥 pic.twitter.com/j8Jazshwlk
— Memphis Grizzlies (@memgrizz) 2018年10月7日
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