世界最強のプレイヤーが敗れた。
世界最強のチームに。
キャブスのホーム、クイックンローンズアリーナで行われたNBAファイナル第6戦、王手をかけて挑んだウォーリアーズがキャブスを104-97で下し、フランチャイズ史上40年ぶりとなる優勝を果たした。
絶対に負けられないキャブスはモズコフ&トンプソンのビッグラインナップで試合に臨んだが、第1Q早々ターンオーバーを繰り返しウォーリアーズに差をつけられてしまう。
ウォーリアーズのスターター全員がロングレンジを決めて来る好調ぶりに対し、キャブスはこの日もアウトサイドが決まらない、レブロンもイグダーラにチャージングを取られる等好ディフェンスに悪戦苦闘するが、モズコフとトンプソンが何とかインサイドで奮闘を見せる。
結局第1Qは、28-15とウォーリアーズがキャブスを13点リードし、第2Qに弾みをつける形となった。
第2Qは両チーム共にFGが決まらず得点が停滞するが、モズコフがファールをもらい確実に点差を縮め始める。
ウォーリアーズはクレイトンプソンとイグダーラが3ファールとなり、ベンチに下げざるを得なくなる、ここで一気に差を詰めたいキャブスはレブロン、そしてトンプソンが得点を重ね、更に終了間際にはトンプソンのティップダンクで、45-43と1ゴール差に迫り前半を終える。
後半に入り逆転に成功するキャブス、過去の試合のように後半で失速する事は避けたい所だが、再び悪夢が甦る。
7-0のランでウォーリアーズがあれよあれよと6点差をつけ、キャブスはここまでで17ものターンオーバーを犯してしまう、ディフェンスではこの日もローテーションが中途半端になってしまい、インサイドに易々と切り込まれヘルプの遅れから得点を許すシーンが目立ってしまう。
そして残り3分でカリーが放った3をエジーリがフォローしバスケットカウントでダンクを決めた時点で、第1Qでつけられた最大13得点差まで逆戻りとなった。
73-61、キャブスは12点ビハインドで最終クォーターを迎える。
ここでキャブスはエースレブロンがチームを牽引する、ペネトレイトから身体をディフェンスに預けながらレイアップを沈め、更にスティールからこの試合初となるファーストブレイクからのダンクで勢いに乗る、点差は7点に。
しかしウォーリアーズもエースカリーが追い上げを許さない、すかさず3で点差を10点に戻す。
続くJRスミスの3に対し、今度はイグダーラが3で反撃、更にカリーも連続で続き、お次はトンプソンと、プレイオフ1stラウンドでペリカンズ相手に一時20点差をひっくり返したウォーリアーズの爆発力がここで発揮される。
キャブスはレブロン頼みのオフェンスとなるが、そのレブロンもロングレンジを決める事が出来ない、他選手も踏ん張りどころで足が止まり始めてしまう、4分を残した所で13点差と差は縮まっておらず、徐々にアリーナに詰めかけたファンも静まり返る。
そして残り2分となりカリーがシャンパートを抜き去った所で、レブロンもヘルプには行かずカリーがレイアップを沈めるのを見守った。
ここで、キャブスファンもキャブスメンバーも諦めたか、、、そんな空気が漂ったが、
残された時間、1分20秒、フロントコートにボールを運んだJRスミスが迷う事なく放った3がネットを揺らし差は9点。
この時点でウォーリアーズファンは既に笑顔を浮かべ夢見心地ムードに浸り始めていたが、JRスミスが現実に引き戻す、タフな3を決め8点に迫る。
それでもまだウォーリアーズは安全圏に思われたが、グリーンがFTを二本外し、レブロンがすかさずイージー2を返す、差は6点。
まだ終わらない、キャブスファンも奇跡を信じた。
シーズン91%の確率を誇るカリーがFTを一本落とす、差は7点37秒、チャンスはある。
タイムアウト明け、レブロンからのインバウンドパスを受け取ったJRスミスは3の外までドリブルで移動する、振り向き様に放った3がネットに突き刺さり、差は4点、残り33.5秒、これで試合の行方は分からなくなった。
しかしファールゲームでFTラインに立つのは、ステファンカリー。
落とせない場面で2本を確実に沈める、これが今シーズン最高の成績を納めたチームのリーダーでありMVPの姿だ、その表情からは既に王者の風格が漂っていた。
キャブスは、JRスミス、レブロンが3を放つもリングに嫌われ、10.6秒。
7点の差が残った時点で、ウォーリアーズは勝利を確信。
世界最強のプレイヤーレブロンはカリーの健闘を讃えたが、視線を合わせる事無く試合終了を待たずしてコートを後にした。
キャブスファンのMVPコールがこのシリーズでのレブロンの活躍を物語っていた。
試合終了を告げるブザーが鳴り響き、張りつめた緊張が一気に解ける、
2015 NBAチャンピオン、ゴールデンステイトウォーリアーズ。
チーム全体で勝ち取った王者
ウォーリアーズは主力のスプラッシュブラザーズのみならず、シリーズを通してベンチから出る選手全員がコンスタントに得点を重ね、勝利を掴んだ。
この日もスターターとなったイグダーラが25点、5リバウンド、5アシスト、2スティールとオールラウンドな活躍を見せ、グリーンも16点、11リバウンド、10アシストのトリプルダブル、リビングストン、エジーリが共に二桁得点となる10点を挙げ、バーンズも3ポイント3本を含む9点と貢献した。
終始レブロンありきだったキャブスに対して、見事なチームバスケットで戦った。
最後までレブロンはレブロンだった
レブロンはこのシリーズにおいて驚異的なスタッツでチームを牽引した、6試合のアベレージは、35.8点、13.3リバウンド、8.8アシストとトリプルダブルに近い活躍でオールラウンダーぶりを発揮。この日も32点、18リバウンド、8アシストとほとんどのプレーに絡みほぼ休むことなく試合に出続けた。FG%は40%を切り、長年5割前後のFG%を残して来たレブロンにしては物足りないが、これ程までにプレッシャーを背負い、休めない状況でシュートを打ち続ける事が出来たのはやはりレブロンならではだろう。
相当な疲労が蓄積していたであろうコンディションで安定したショットを打ち続けるのは至難の業である、それ故そこまでシュートが決まっていないとレブロンを責めるのはナンセンスだ。
終始最高のプレーとまでは行かなかったかもしれないが、チーム事情からレブロンはレブロンが出来る事を十分にこなしたと言えるだろう、それで敗退したと言えどレブロンが世界最高のプレイヤーである事には異論の余地はない。
世界最高のプレイヤーが世界最高のチームに敗退した、それが事実だ。
ファイナルMVPイグダーラ
このファイナルでのキーポイントの一つであった、レブロンに対してのウォーリアーズディフェンスだが、イグダーラの活躍が正に明暗を分けたと言えるだろう。
イグダーラはシリーズが始まる前に、レブロンのディフェンスをする事に対し「レブロンを止めるのは無理だ、いかにしてタフショットを打たせるか、そこだけに集中する。」と発言したが、宣言通りイグダーラはレブロンを外に締め出し、チャージングを誘発し、思うようにプレーをさせなかった。
更にはオフェンスでも相手の流れを断ち切る3を高確率で沈め、ウォーリアーズの勝利の立役者となった。
今回リーグ最強のレブロンを抑え、オフェンスでも貢献したイグダーラがファイナルMVPに選出されたのは妥当な結果だろう。
尚レギュラーシーズンで一度もスターターを務めずに、ファイナルMVPに輝いたプレイヤーは史上初の快挙となった。
ビッグでもスモールでも対抗出来なかったキャブス布陣
第3戦を終えた時点で、2-1とリードしたキャブスだったが、ウォーリアーズがスモールラインナップへと戦術を変えてから3連敗を喫してしまった。
ウォーリアーズのスモールサイズを活かしたトランジションオフェンスに対抗するべく、キャブスもモズコフを外すなど同じくスモールで対応を試みたが終盤で失速し打ち破る事は出来なかった。
そして、モズコフを戻したビッグラインナップで臨んだ今日も終始ウォーリアーズに主導権を握られい、結果は見ての通りである。
ブラットHCの采配に疑問を感じる方は多いかもしれないが、キャブスは単純にウォーリアーズに対抗するだけの選択肢が限られていたという事実はやはり大きな敗因である事に間違いないだろう。
シリーズを通して沈黙したアウトサイド
勝敗を分けた原因として明白なのは、やはりロングレンジの精度だ。
スプラッシュブラザーズのみならず、他メンバーもコンスタントに3を決められるウォーリアーズとに対し、3が得意ではないデラベドバ、そして好不調の波が激しいJRスミスとシャンパートでは単純に攻撃力に差があった。
今年の3ポイントコンテストで決勝をスプラッシュブラザーズと共に争ったアービング、そしてPFとしては最高峰の3Pシューターラブがいれば、アウトサイドからの得点はもっと拮抗しただろうが、起こってしまった事はどうしようもない。
ただ、JRスミスが今日見せたように、あの爆発力がある事は事実なので、それがこのシリーズで発揮される機会がほとんど無かった事が残念でしかない。
大舞台で決められないのは実力の内ではあると思うが、レブロンの言う「勝つにはちょっとした運も必要」の、このちょっとした運もキャブスには訪れなかったように思われる。
チームの結束力の差
シリーズの明暗を分けた要素としては、これが一番大きいと個人的には思っている。
バスケはチームスポーツである、そしてこの「チーム」という点において、キャブスはまず選手がコーチを信頼していなかったり、レブロンに頼り切りになるのはチーム事情多少しょうがないが、それでもヘルプに行かなかったりリバウンドに飛び込まず見ていたり、試合中にターンオーバーを犯した後ふてくされ、そういったイライラの反動からかスクリーンに体当たりで突っ込んだり、あまり褒められる事ではないシーンが少々目についてしまった。
対するウォーリアーズは、全員が一丸となり支え合っている姿勢が要所で垣間みる事が出来た、今回のファイナルにおいて、どちらのチームがチャンピオンにふさわしいかと言えば、それはウォーリアーズだと、私は思う。
そして、レブロンが敗退した一つの理由として戦力の差は一目瞭然だが、やはり「チーム」という意味で、「自分が周りを活かす」という一人が上に立って他を巻き込む、のではなく、「皆が皆を活かす」という全員が主役となるスタイルで戦えるチームでないとなかなか勝利は近づいて来ないのかもしれない。
カリーは、恐らくそのマインドが既に備わっているのではないかと個人的に感じている。
自分が皆を引っ張るんだ、という姿勢よりも、皆でチームを引っ張るんだという意識をひしひしと感じさせる。
今のキャブスが勝つには、レブロンの奮闘が必要だったかもしれないが、やはりこのスタイルで王座に輝くのは難しい、それが改めて証明されたファイナルであったと改めて思う。
そして一人が全てをくつがえすというのは、やはりこの世のあるべき姿ではないのかもしれない、と今回レブロンが敗れた姿を見て感じてしまった。
さて、そんなわけで最後にまとめレビューですが、今年のファイナルは本当に心の底から楽しめました。
確かにアービング、ラブがいた方が実力は拮抗しますし、熱いシリーズとなったかもしれませんが、このメンバーでシリーズを一時リードし、ウォーリアーズを追いつめた、そしてレブロンが歴史的なスタッツで奮闘した。
これはこれで本当に良いシリーズだったと思います、心の底から両チームの健闘を称えると同時に感謝したいです。
キャブス、ウォーリアーズの選手、コーチ、スタッフ含め、このファイナルを生み出すために関わって下さった皆さんにありがとう。
そして、ウォーリアーズ優勝おめでとうございます、ファイナルMVPイギーも素晴らしい活躍でした。
カリーもチャンピオンとしてこれから更に上の領域のプレイヤーになって欲しいです、来シーズンもレブロン同様リーグを引っ張るスーパースターですからね。
最後に、負けてしまったキャブス、
、、、
ヘッドバンドネタをきっかけにいつの間にかレブロンを追いかけ回すようになってから早1年、気付けばキャブスファンになっていました。
ファイナル記事のトップ画はウォーリアーズが勝った試合もあえてキャブス(っていうかレブロン)で統一しましたからね。
なんだかんだで、今のキャブス、大好きです。
来シーズンも同じメンバーにアービングとラブを加えて戻って来て欲しい。
昨年スパーズが成し遂げた事を、今度はキャブスが起こす番です。
私はずっと待っています、、、
更なるカムバックを(生え際的な意味で)。
それでは最後の最後に改めまして、ウォーリアーズファンの方も、キャブスファンの方も、応援お疲れ様でした。
来シーズンもまたNBAを大いに楽しませて頂きましょう。
オフの間もネタがあり次第何かしら書いていくつもりなので、これからも宜しくお願いします、定期的に覗いて下さってる方々本当にありがとうございます。
それではでは。
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ドモ^ ^ 今シーズンのファイナルは久々に熱くなりました☆ GSWが優勝…時代の変化を感じます(^^;; レブロンには来シーズンに期待して…オフの間も、NBAネタ楽しみにしています^ ^
お久しぶりです、こっちでは。
1戦目からの解説きっちり読ませて頂きましたよw
キャブスは今年負けてしまいましたが、逆にアービングとラブがいるファイナルへの期待が大きくなりました。
これからオフシーズン突入ですが、カタさんらしい小ネタやら真面目な考察も期待してます。
>ケンタさん
キャブス敗退してしまいましたが、本当に良いシリーズでしたね♪来シーズンは、BIG3が揃ったキャブスに期待したいです。また同じカードのファイナルもいいですね、、、
オフも引き続きそれなりにネタ見つけて更新したいと思ってます、毎度ありがとうございます♪
>しげをさん
お久しぶりです!こちらもチラ見して下さってて嬉しいです。
今シーズン序盤は二人がいてもケミストリーが芳しくなかったですが、後半は調子を上げて来ていたので来シーズンどれだけ勝ち星を挙げられるか本当に楽しみですね。レブロンもまだまだ選手として成長して欲しいです。
ブログは適度にふざけて適度に真面目に更新していこうと思います(笑)よろしくデス♪
ウォーリアズの勝利はケミストリーもあるけども
何よりも各選手が非常に個としてレベル高い事もあるかと思います。
控えにオールスターだったイグドラ、リー、リビングストン?などなど
レブロンの一人で回すスタイルが悪いわけではないかと
ただあのスタイルは非常に体力を消耗するのでセカンドオプションは必要かとは思います
じぇいむすさん初めまして、コメントを残して頂きありがとうございます。
おっしゃる通りGSWは個のレベルが高い事は間違いありません、だからこそオフェンスでは皆よく周囲が見えキックアウトも出来、1on1のディフェンスも上手い上に抜かれてもヘルプが早い、と個のレベルの高さあってのあのチームプレーだと思います、スパーズもそうですよね。
レブロンが一人で回すスタイルというのは、「勝てないわけではない」ですが、「勝ち続けられはしない」という表現が当てはまるのではないかと思います、じぇいむすさんもおっしゃっている通り一人が異常に体力を消耗するスタイルですと長丁場のシーズンどうしてもガタが来てしまうので、、、
しかしこのスタイルで何とかなるんじゃないかと思わせてしまう程レブロンの存在というのは正に驚異的で、唯一無二のスーパースターだなと実感せざるを得ませんね。
来シーズンは主力選手も戻って来ますし、レブロンの負担も減るのでチームとしてどんな試合展開を見せてくれるか、今からとても楽しみです♪